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基幹講座
分子認識化学分野
  • 永田 晋治教授

    昆虫内分泌学・昆虫生理学・化学生態学

    摂食行動、ホルモン、ステロール

環境情報を生体内に取り込む仕組みを明らかにする

 地球上の生物は、環境の条件やその変化に応じた「生存戦略」が見られますが、多様な環境情報は、どのように生体内に伝わっているのでしょうか?生き物が、生命を維持するためには、環境変化に対し柔軟に体内のシステムを応答させる必要があります。ホルモンなど生理活性物質は体内にこのような環境情報を伝えていることが分かっています。つまり、ホルモンは、体内における様々な調節・制御系の鍵となる分子であり、細胞の分化・増殖、生理状態、行動様式をコントロールすることで、最終的に個体レベルで生命が維持されています。
 当分野では、このような生体情報分子であるホルモン類、特にペプチドホルモンやステロイドに注目して、生物の調節・制御系の分子メカニズムを研究しています。ホルモンの化学構造や生合成経路、作用メカニズムを明らかにすることにより、生物でみられる「生きる」ための巧みな戦略を追究しています。

【研究テーマ】

現在、進行中の研究テーマは次のとおりです(詳しくは研究室HPまで)。

(1)昆虫の本能的な栄養依存的摂食行動

 雑食性の生物はどのように体が要求する栄養分を探しあて食べているのだろうか?私たちは主にコオロギを使って研究しています。

(2)節足動物のステロイド要求性

昆虫をはじめ節足動物はステロイドを生合成できません。どのように成長や生育に必要なステロイドを取り込み利用しているのでしょうか?

(3)昆虫の環境依存的な表現型

コオロギは飼育条件により行動や体色などが変化します。体内や脳神経系では、どのようなシステムが制御しているのでしょうか?また、個体認識はどのように行われているのでしょうか?
  • 研究に用いているフタホシコオロギ

  • フタホシコオロギの個体認識に重要な翅表面の電子顕微鏡画像

(4)昆虫の脱皮・変態の制御機構

昆虫の発育段階を決める脱皮・変態はどのようなシステムでコントロールされているのでしょうか?

(5)休眠の分子機構

体の活動を積極的に低下させ、発育を一時的に停止する休眠はどのようなシステムでコントロールされているのでしょうか?
  • 研究に用いているカイコの幼虫

  • 成虫

  • 研究室旅行の集合写真