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先端海洋生命科学分野

永田 俊 教授 理学博士

Theme

微生物生態学・生物地球化学

Keyword

海洋生態系、微生物相互作用、地球環境

Message

海洋に生息する微生物群集の代謝活動によって、炭素、窒素、リンといった元素の循環が駆動されます。これらの代謝活動は、地球規模での元素の循環や、ひいては地球の気候にも大きな影響を及ぼします。このような、地球環境を駆動する微生物プロセスの解明を目指しています。

研究者紹介

ダーウィンは晩年の大著「ミミズの作用による肥沃土の形成およびミミズの習性の観察」の中で、ミミズの「ささいな活動」の集積の結果が土壌の肥沃化や建築物の埋没におよぼす「驚くべき影響」を克明に論じています。この「生物活動による環境改変」という、ある意味では旧来からの議論が、今日、気候危機に直面した人類にとって、新たな意味合いを持った、切実な研究テーマになり始めています。私は、海洋微生物群集を対象として、これらの「ささいな活動」の集積の結果が、地球環境におよぼす「驚くべき影響」の解明をめざして研究を進めてきました。たとえば、海洋の表層に浮遊する微細藻類の光合成によって固定された炭素は、その後、有機粒子の沈降によって、深海に送り込まれますが、このプロセスを通して、年間100億トンに達する炭素が海洋に貯留されます。これは、人間による化石燃料の燃焼によって排出される炭素量を大幅に上回る規模であり、地球の気候(温暖化)にも大きな影響を及ぼします。このような観点から、地球環境を駆動する海洋微生物プロセスの解明を進めています。研究者になった1980年代には、この分野の研究はまだ揺らん期で、私自身は、微生物の顕微鏡計数や活性測定といった地道なフィールド研究を行い、20年以上かけて基礎データを積み上げました。これが私の現在の研究の足腰になっています。近年は、学生の皆さん、研究員、共同研究者とともに、最先端の分子生物・遺伝学的な手法やイメージング技術を使った解析を行っています。また計算機による数値シミュレーションによって、ミクロスケールのプロセスを、地球規模の現象につなげることも試みています。

  • 氷の下に発達する生態系の調査

  • 沈降粒子に生息する微生物群集解析のためのサンプリング風景

研究者略歴

1981年 東京都立大学理学部生物学科 卒業
1983年 京都大学大学院理学研究科動物学専攻修士課程 修了
1987年 京都大学大学院理学研究科動物学専攻博士課程 修了
1989年 デラウェア大学海洋学部 研究員
1991年 名古屋大学水圏科学研究所(大気水圏科学研究所)助手
1995年 東京大学海洋研究所 助教授
2000年 京都大学生態学研究センター 教授
2008年 東京大学海洋研究所 教授
2010年 東京大学大気海洋研究所 教授