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基幹講座
資源生物創成学分野
  • 鈴木 匡准教授

    植物病理学・植物分子生物学

    植物ウイルス、ウイルスベクター、RNA

植物ウイルスの病原性発現機構を解析して病気に強い植物を作出するとともに、植物ウイルスの持つ能力を応用

当研究室は、「古くから共進化してきた植物、昆虫と微生物の相互作用を解析し、有用な生物資源の作出を目指す」をコンセプトに発足しました。植物の病気は、三者の相互作用の研究に大変良いモデルで、病気に強い植物は有用資源と言えます。近年は、植物病原の中で最も小さい、ウイルスを主な対象としています。ウイルスは「細胞」生物ではありませんが、少ないながら遺伝子を持ち、特有の遺伝子発現機構、タンパク質そしてRNA構造等によって、宿主植物を病気にし、主に昆虫によって媒介される病原です。

【研究テーマ】

我々は、数個の遺伝子しか持たないウイルスが、どのようにして植物を病気にするのかに興味を持っています。そこで、分子レベルで植物ウイルスの遺伝子発現と、それに対する植物の応答を解析し、病気になる機構の解明をしています。一方で、ウイルス特有の遺伝子発現機構や強い増殖力を応用したあたら有用資源の作出を目指しています。
現在、進行中の研究テーマは大きく以下のとおりです。

(1)植物ウイルスの遺伝子発現機構の解明

 植物ウイルスが「どのようにして」病気を起こすのか。分子機構はまだ不明な点が多いです。驚くべきことに、わずか1塩基しか相違がないウイルスでも、異なった病気を起こす場合があります。そこで、いくつかの病気で、遺伝子改変したウイルスを用いて、ウイルス遺伝子の中の重要な塩基配列、ウイルスタンパク質中の重要なアミノ酸配列の解析を行っています。これらの知見を基に、植物側の関与する遺伝子の同定や解析を行っています。

(2)植物ウイルスベクターの開発

 植物ウイルスの高い増殖力を利用して、ウイルス遺伝子の中に外来遺伝子を挿入し、植物で発現させるのがウイルスベクターです。一方、RNA干渉(サイレンシング)という、RNAレベルで遺伝子発現を抑制する現象を利用し、ウイルス遺伝子中に植物遺伝子の一部を組み込むことで植物の内在性遺伝子発現を抑制することも可能です。そのため、昨日未知の植物遺伝子の機能解析のツールすることも可能です。
 現在、数種マメ科植物の有害・不要遺伝子発現を抑制するウイルスベクターを開発中です。
  • 健全ラッカセイ(左)とウイルス感染によって矮化したラッカセイ(右)

  • 健全なインゲンマメ(A)とウイルスベクターによって遺伝子を抑制した結果、白化したインゲンマメ