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専攻紹介

カリキュラム

特色あるカリキュラム

先端生命科学専攻では、理学、農学、薬学、医学の研究者が集結し、生命現象の統合的理解を目指しています。既存の領域を超えた研究分野を開拓する人材育成を目指して、「データに基づき論理的に考える力」「わかりやすく説明し討論する力」「国際的に活躍する力」を育む教育の一環として、以下のような特色のある講義・演習を開講しています。

  科目 実施言語 単位
1 先端生命科学研究論Ⅰ(プレスクール) 日本語 選択必修、2単位
先端生命科学研究論Ⅱ 英語
2 科学技術倫理討論演習 日本語 選択必修、2単位
科学技術英語討論演習 英語
3 生命科学概論Ⅰ 日英選択 必修、1単位
生命科学概論Ⅱ 日英選択 準必修、1単位
4 先端生命科学総合演習(修士中間発表) 日英選択 必修、2単位
5 先端生命科学演習 日英選択 必修、4単位
6 先端生命特別研究Ⅰ 日英選択 必修、12単位
7 生命科学英語特論 日本語 準必修、1単位
8 生命科学英語演習 日英選択 準必修、各1単位
9 基礎生化学・分子生物学 日本語 選択、1単位
10 生命科学実験解析学 日本語 選択、1単位
11 専門の研究分野に関する講義 日英選択 選択、1単位
12 先端生命科学発展演習 日本語  
13 先端生命科学特別演習 日本語  
14 先端生命特別研究Ⅱ 日本語  
15 新領域創成科学研究科共通科目 日本語  
16 アーカイブ講義 全学開放講義「生命科学大学院共通セミナー」「生命科学共通講義」 日本語 選択、各1単位
17 老化制御デザイン演習 日本語 選択、2単位
18 国際化演習(短期留学プログラム) 英語 選択、3単位

1. 先端生命科学研究論Ⅰ(プレスクール)・先端生命科学研究論Ⅱ

先端生命科学専攻の各研究分野でどのような研究が行われているかを全研究分野について概説するとともに、東京大学の科学研究における行動規範を説明する。入学後配属の場合は、ここで各研究分野の研究内容をじっくり聞いて配属先分野・研究室を選択することができる。各分野から出題された課題のうち2つを選んでレポートを提出し、優秀レポートは表彰される。先端生命科学研究論Ⅱは、外国人向けに英語で行われる。

2. 科学技術倫理討論演習・科学技術英語討論演習

科学技術倫理討論演習は、外部から招聘した専門性の高い非常勤講師が科学技術に関する倫理的な話題について講義をし、その話題について学生間で討論をする。科学技術英語討論演習は、外国人向けに英語で行われる講義で、科学技術の特定のトピックスについて討論をする。

3. 生命科学概論Ⅰ、生命科学概論Ⅱ

多様な生命科学分野について招聘された講師が入門的な講義を行い、幅広い知識と生命観を養う。8回以上の出席に対してⅠ(必修)の単位、16回以上の出席でⅡ(準必修)の単位の履修となる。

4. 先端生命科学総合演習(修士中間発表)

修士論文研究の中間発表として、研究成果報告書・計画書の作成、ポスター作成、口頭説明を行い、他分野の学生や教員とのディスカッションを行う。入学ガイダンス時のパネルディスカッションへの参加も含まれる。

5. 先端生命科学演習

修士論文の作成に向けて、研究室セミナーや論文の添削指導を各研究分野の教員が担当する。

6. 先端生命特別研究Ⅰ

修士論文の作成に向けて、研究指導を各研究分野の指導教員が担当する。

7. 生命科学英語特論

英語論文の書き方について解説し、そこで必要な技術を習得し、演習を行う。

8. 生命科学英語演習

英語によるコミュニケーション能力の育成をめざす。学会などでのポスター発表を英語で行う時に、どのようなことに注意してポスターを作成すれば良いのか、また分かりやすい発表を行うためにはどうすれば良いのかを、実際に英語で発表することにより学ぶ。

9. 基礎生化学・分子生物学

学部課程において生化学、分子生物学以外の分野を専攻していた初学者を対象として、先端生命科学専攻で対象としている広範囲な生物学的諸現象を総合的に理解するために必要な生化学及び分子生物学の基礎知識を概説する。

10. 生命科学実験解析学

生命科学研究の基礎となる統計学を理解するとともに、データの客観的な解析手法を修得する。また各種データベースの利用方法を習得する。

11. 専門の研究分野に関する講義

生物製剤・医薬創製学

現在、様々な疾患の治療にサイトカインや抗体などのタンパク質性の製剤が用いられている。抗体は免疫学的産物であり、現在、医薬品として用いられているサイトカインもその多くが免疫学的反応に関わるものである。本講義では、これら、バイオ医薬品、抗体医薬品の開発に不可欠な免疫学の基礎知識を習得することを目標とする。また、近年、樹状細胞と呼ばれる細胞集団が免疫反応の惹起、調節に中心的な役割を果たすことが明らかになり、その知識のワクチン開発への応用も期待されている。本講義では、樹状細胞による認識やその機能についても解説する。

生体分子認識化学

生物は、細胞、組織、器官において内外との情報交換を行うために、それぞれ固有の分子を利用した様々な調節・制御系を構築し、それらを駆使することで生物個体としての統一性、協調性を維持している。低分子有機化合物・ペプチドホルモンなど生体情報分子とそれらに対する結合タンパク質や受容体分子間の相互作用の研究は、今日の生物学の中心課題の一つである。本講義では、このような分子間の認識や相互作用の解析方法および最新の研究例を紹介する。

細胞応答化学

細胞の応答性に関する知見を、基礎から応用まで概説し、理解を深める。個別の話題として、細胞の老化や、脳細胞の特性について、最新の知見を紹介する。そして、細胞の応答性を通じた、生物個体の環境に対する適応性についても、考え・議論する。

生命生存応答学

生命生存の基本的理解に必要な諸間題、特に細胞増殖の制御機構、細胞内構造体の構造と機能、生物の応答現象について概説する。単細胞真核生物である出芽酵母の研究を中心にして、網羅的な解析手法を用いたわかってきたことを基礎にした細胞の最新像を論じる。多細胞生物の成り立ちを細胞周期制御機構の観点からとらえ、細胞の分化にともなって起こる細胞内の高次機能発現の分子機構について講義する。さらに生物が示すさまざまな応答現象の意義を、将来への展望を含めて論考する。

適応分子生物学

利己的遺伝子としての転移因子(特にnon-LTR型レトロトランスポゾン)やテロメラーゼ遺伝子などの転移機構、進化などについて概説するとともに、一部のレトロトランスポゾンが標的特異的に転移するメカニズムとその利用を中心に講義する。また、昆虫付属肢の発生・進化の分子メカニズムを通して、発生生物学や進化発生生物学の基本概念について講義する。

生殖システム生物学

様々な内的・外的変異原に対する自己防御機構を進化させた生命は、水中から陸上に上がり、多様性を獲得し今日に至っている。 ゲノムの変異は,突然変異や発生異常・発がん等の原因につながる一方で種の進化の大きな原動力にもなる。こうして生じた変異は、生殖細胞を介して次世代に伝えられる。本講義では、DNA修復と突然変異生成について、その生物学的意義と解析方法を概説する。さらに、変異を次世代に伝えるための機構としての性分化、配偶子形成と受精を脊椎動物を中心に講義する。

真核細胞生物学

真核細胞生物学では、真核細胞生物の遺伝子発現調節について多角的な視野で理解することを目指す。具体的には、クロマチン・核構造動態制御やエピジェネティックな遺伝子発現制御、および転写後発現制御を取り上げ、その基礎知識から最先端研究までを概説する。

適応進化遺伝学

進化遺伝学(evolutionary genetics)とは集団内及び種内の遺伝的多様性(多型性)を定量・解析する集団遺伝学(population genetics)と種間の遺伝的多様性(相違性)を定量・解析する分子進化学(molecular evolution)の総称である。生物種内及び種間の遺伝子の多様性がどのようにして産み出されるのか(進化の機構)、そしてそれに基づき種内や種間の系統関係はどのようにしたら明らかにできるか(進化の歴史)を研究することが進化遺伝学の目的である。本講義はまず遺伝子頻度、自然選択、遺伝的浮動などの集団遺伝学的基礎概念及び塩基置換、遺伝子系統樹、中立説といった分子進化学的基礎概念について紹介し、それらの基本的な知の体系に基づいて適応進化を同定・検出する方法とその限界について解説する。これらを踏まえ今後の進化遺伝学研究の方向性について検討する。

動物制御科学

動物(主に昆虫と哺乳類)の生殖、発生の基礎と、応用としての発生工学について講義する。これによって、生命活動の調節機構における基本的原理と人為的操作方法を学ぶ。

微生物生命科学

微生物と植物・昆虫などの他の生物との相互作用について説明すると共に、それらを応用したテクノロジーについて解説する。

人類進化学

我々現生人類(ホモ・サピエンス)について、その進化の道筋を学習して、生物学的な特徴を理解することによって、真の意味で人間的な文化要素を抽出することが可能となる。本講義では、人類の進化を「食生態の進化」という視点から研究するための様々な手法を紹介しながら、人類の進化を学習する。ヒトの生物学的特徴と人間の文化的特徴を理解することができれば、現代社会がかかえる諸問題の根源的原因を、人類進化の文脈で理解することを目標とする。

ゲノム進化学

生命は、大きく変動する環境のなかで、長い歴史を経てそのゲノム配列をダイナミックに変化させ、現在のように多様に進化してきた。本講義では、ゲノム進化を解明するための研究手法やその最先端研究について講義する。

腫瘍生命科学

がんの本態解明、予防、診断・治療開発に必要な腫瘍生物学、臨床腫瘍学の基礎を習得する。
各講義において①基礎研究の進展により明らかになったがん組織、細胞レベルの多様な生物学的知見②開発中および臨床応用が進んでいるがんオミクス解析、画像解析の特徴③がん細胞、組織の生物学的特性に基いて開発される分子標的療法、腫瘍免疫療法、ドラッグデリバリーシステムなど最新の治療とその実践、を理解する。本科目の履修により創薬、医療機器開発などを通じた革新的ながん医療開発の戦略と、それに必要な各種オミクス情報の統合と活用の重要性を学習する。

12. 先端生命科学発展演習

先端生命科学専攻の基幹講座研究室から提示される複数の集中的な実験実習プログラムのうちから、自らの所属する研究室の以外のものに参加する。実際に手を動かし、得られたデータについて議論することによって新たな技術、知識および情報を得るとともに、自分の専門の壁を越えた幅広い思考能力や研究交流のスキルを養う。

13. 先端生命科学特別演習

博士論文の作成に向けて、研究室セミナーや論文の添削指導を各研究分野の教員が担当する。

14. 先端生命特別研究Ⅱ

博士論文の作成に向けて、研究指導を各研究分野の教員が担当する。

15. 新領域創成科学研究科共通科目

  • 新領域創成科学特別講義Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ
  • 新領域創成科学特別講義Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ(学融合セミナーⅠ、Ⅱ、Ⅲ)
  • 新領域創成科学特別講義Ⅹ、ⅩI(科学・技術英語A、B)
  • 新領域創成科学海外演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
  • 新領域創成科学特別演習Ⅰ、Ⅱ
  • ストレスマネジメント論

16. アーカイブ講義 全学開放講義「生命科学大学院共通セミナー」「生命科学共通講義」

今後ますます多様化、複雑化する生命科学においては、研究者に幅広い知識と視野が求められる。そこで、東京大学の生命科学系の研究科や研究所が協力して、既存の学問分野の枠にとらわれない領域横断的な科目や新しい履修方法を提供している。

17. 老化制御デザイン演習

新領域創成科学研究科では、その設立以来、社会問題の解決に資する人材の養成を行っていくために異なる学問分野を跨って融合的な教育を実施することを標榜してきた。超高齢社会の進展に対処するために、加齢に伴い進行する老化の仕組みを知り、これを制御する新しい技術の開発が求められている。そこで、本演習においては、これまでに生命の老化に関連した教育研究を行ってきた複数の専攻に所属する教員が、必要な基礎的知識について概説を行い、引き続き研究室における模擬的実習や、演習を行う中から、個人のアイデアに基づいて、老化制御に関する演習を実施し、その成果をシンポジウムなどにおいて発表する、一連の教育を行うことにより、時代の要請に応じた人材の養成を進める(演習の詳しい内容はこちらのページを参照してください)。

18. 国際化演習(短期留学プログラム)

先端生命科学専攻またはメディカル情報生命専攻が実施するフランス・リヨンのENS Lyon、UCB、INSA、中国・浙江大学などの研究室への短期(1~6ヶ月程度) 海外研修に参加し、国際的な交流と経験を深める。(※先端生命科学専攻とメディカル情報生命専攻双方で開講する共通科目)