生命科学研究科 生命科学研究科 ― 東京大学大学院新領域創成科学研究科

特色あるカリキュラム

異分野間での相互評価

先端生命科学専攻では、分野の枠を超えた教員と学生のふれあいの場が提供されています。学位審査においても修士課程中間発表、修士論文発表会、博士課程予備審査において、専攻の全教員が参加して評価と指導を行っています。指導教員と研究領域が大きく異なる立場からのアドバイスは、自分の研究を見直すきっかけになることが多々あります。

特色あるカリキュラム

先端生命科学専攻では、理学、農学、薬学、医学の研究者が集結し、生命の基本分子(ゲノム/タンパク質/糖鎖等)という「共通言語」を介した生命現象の統合的理解を目指しています。既存の領域を超えた研究分野を開拓する人材育成を目指して、「論理的に考える力」「コミュニケーション能力」 「チャレンジする意欲」を育む教育の一環として以下のような特色のある講義・演習を開講しています。
 なお、**で示した科目は英語で行われ、*で示した科目は日本語か英語かを選択でき、*の無い科目は日本語で行われます。これにより、日本語のみでも、英語のみでも修了に必要な単位をすべて取得できます。

1.  先端生命科学研究論Ⅰ(プレスクール)・**先端生命科学研究論Ⅱ(選択必修、2単位) 

  先端生命科学専攻の各研究分野でどのような研究が行われているかを全研究分野について概説するとともに、東京大学の科学研究における行動規範を説明する。入学後配属の場合は、ここで各研究分野の研究内容をじっく り聞いて分野を選択することが出来る。各分野から出題された 課題のうち2つを選んでレポートを提出する(優秀レポートは表彰される)。先端生命科学研究論Ⅱは、外国人向けに英語で行われる。

2. 科学技術倫理討論演習・**科学技術英語討論演習(選択必修、2単位)

 科学技術倫理討論演習は、外部から招聘した専門性の高い非常勤講師が科学技術に関する倫理的な話題について講義をし、その話題について学生間で討論をする。科学技術英語討論演習は、外国人向けに英語で行われる講義で、科学技術のトピックスについて討論をする。

3. *生命科学概論Ⅰ(必修、1単位)、*生命科学概論Ⅱ(準必修、1単位) 

 多様な生命科学分野について招聘された講師が解説し、幅広い知識と生命観・社会観を養う。8回以上の出席に対してⅠ(必修)の単位、16回以上の出席でⅡ(準必修)の単位の履修となる。

4. *先端生命科学総合演習(修士中間発表)(必修、2単位) 

 修士論文研究の中間発表として、研究成果報告書・計画書の作成、ポスター作成、口頭説明を行い、他分野教員により審査を受ける。また学生に対してもポスター発表を行う。入学ガイダンス時のパネルディスカッションへの参加も単位取得の要件に含まれる。

5. *先端生命科学演習(必修、4単位) 

 修士論文の作成に向けて、研究室セミナーや論文の添削指導を各研究分野の教員が担当する。

6. *先端生命特別研究Ⅰ(必修、12単位) 

 修士論文の作成に向けて、テーマの選択や実験指導を各研究分野の教員が担当する。

7. 生命科学英語特論(準必修、1単位)

 英語論文の書き方について解説し、そこで必要な基本的技術の習得を目的とし、英語論文を書くための実地演習を行う。

8. *生命科学英語演習(準必修、各1単位)

 英語によるコミュニケーション能力の育成をめざす。学会などでのポスター発表を英語で行う時に、どのようなことに注意してポスターを作成すれば良いのか、また分かりやすい発表を行うためにはどうすれば良いのかを、実際に英語で発表することにより演習を行う。

9. 基礎生化学・分子生物学(選択、1単位)

 学部課程において生化学、分子生物学以外の分野を専攻していた初学者を対象として、先端生命科学専攻で対象としている広範囲な生物学的諸現象を総合的に理解するために必要な生化学及び分子生物学の基礎知識を概説する。

10. 生命科学実験解析学(選択、1単位)

 生命科学研究の基礎となる統計学を理解するとともに、データの客観的な解析手法を修得する。また各種データベースの利用方法を習得する。

11. *専門の研究分野に関する講義(選択、1単位)

・生物製剤・医薬創製学
 現在、様々な疾患の治療にサイトカインや抗体などのタンパク質性の製剤が用いられている。抗体はもちろん免疫学的産物であり、現在、医薬品として用いられているサイトカインもその多くが免疫学的反応に関わるものである。本講義では、これら、バイオ医薬品、抗体医薬品の開発に不可欠な免疫学の基礎知識を習得することを目標とする。また、近年、樹状細胞と呼ばれる細胞集団が免疫反応の惹起、調節に中心的な役割を果たすことが明らかになり、その知識のワクチン開発への応用も期待されている。本講義では、樹状細胞による認識やその機能についても解説する。


・生体分子認識化学
 生物は、細胞、組織、器官において内外との情報交換を行うために、それぞれ固有の分子を利用した様々な調節・制御系を構築し、それらを駆使することで生物個体としての統一性、協調性を維持している。低分子有機化合物・ペプチドホルモンなど生体情報分子とそれらに対する結合タンパク質や受容体分子間の相互作用の研究は今日の生物学の中心課題の一つである。本講義では、このような分子間の認識や相互作用の解析方法および最新の研究例を紹介する。


・細胞応答化学
 細胞の応答性に関する知見を、基礎から応用まで概説し、理解を深める。個別の話題として、細胞の老化や、脳細胞の特性について、最新の知見を紹介する。そして、細胞の応答性を通じた、生物個体の環境に対する適応性についても、考え・議論する機会を提供する。


・生命生存応答学
 生命生存の基本的理解に必要な諸間題、特に細胞増殖の制御機構、細胞内構造体の構造と機能、生物の応答現象について概説する。単細胞真核生物である出芽酵母の研究を中心にして、網羅的な解析手法を用いたわかってきたことを基礎にした細胞の最新像を論じる。多細胞生物の成り立ちを細胞周期制御機構の観点からとらえ、細胞の分化にともなって起こる細胞内の高次機能発現の分子機構について教授する。さらに生物が示すさまざまな応答現象の意義を、将来への展望を含めて論考する。


・適応分子生物学
1.転移因子(藤原担当):利己的遺伝子としての転移因子(特にnon-LTR型レトロトランスポゾン)やテロメラーゼ遺伝子などの転移機構、進化などについて概説するとともに、一部のレトロトランスポゾンが標的特異的に転移するメカニズムとその利用を中心に講義する。
2.発生生物学(小嶋担当):昆虫付属肢の発生・進化の分子メカニズムを通して、発生生物学や進化発生生物学の基本概念について講義をする。


・生殖システム生物学
 様々な内的・外的変異原に対する自己防御機構を進化させた生命は、水中から陸上に上がり、多様性を獲得し今日に至っている。 ゲノムの変異は,突然変異や発生異常・発がん等の原因につながる一方で種の進化の大きな原動力にもなる。こうして生じた変異は、生殖細胞を介して次世代に伝えられるが、生物は環境に適応した性戦略によりその多様性を維持してきた. 本講義では、生命の最も保守的な機構としてのDNA修復 と、生命の最も革新的な機構としての突然変異生成について,その生物学的意義と解析方法を概説する。さらに変異を次世代に伝えるための機構としての性分化、配偶子形成と受精を脊椎動物を中心に捉える。


・真核細胞生物学
 真核細胞生物学として、1つは、母性遺伝と性の起源について、利己的DNAの振る舞いと性という観点から講義する。また、2つ目は、植物細胞の構造、形態形成、分化、成長、分裂について、その原理から講義する。


・適応進化遺伝学
 進化遺伝学(evolutionary genetics)とは集団内及び種内の遺伝的変異性を定量・解析する集団遺伝学(population genetics)と種間の遺伝的相違性を定量・解析する分子進化学(molecular evolution)の総称である。生物種内及び種間の遺伝子の多様性がどのようにして産み出されるのか(進化の機構)、そしてそれに基づき種内や種間の系統関係はどのようにしたら明らかにできるか(進化の歴史)を研究することが進化遺伝学の目的である。本講義はまず遺伝子頻度、自然選択、遺伝的浮動などの集団遺伝学的基礎概念及び塩基置換、遺伝子系統樹、中立説といった分子進化学的基礎概念について紹介し、それらの基本的な知の体系に基づいて適応進化を同定・検出する方法とその限界について解説する。これらを踏まえ今後の進化遺伝学研究の方向性について検討する。


・動物制御科学
 動物(主に昆虫と哺乳類)の生殖、発生の基礎と、応用としての発生工学について講義する。これによって、生命活動の調節機構における基本的原理と人為的操作方法を学ぶ。


・微生物生命科学
 微生物と植物・昆虫などの他の生物との相互作用について説明すると共に、それらを応用したテクノロジーについて解説する。


・人類進化学
 我々現生人類(ホモ・サピエンス)について、その進化の道筋を学習して、生物学的な特徴を理解することによって、真の意味で人間的な文化要素を抽出することが可能となる。本講義では、人類の進化を「食生態の進化」という視点から研究するための様々な手法を紹介しながら、人類の進化を学習する。ヒトの生物学的特徴と人間の文化的特徴を理解することができれば、現代社会がかかえる諸問題の根源的原因を、人類進化の文脈で理解することを目標とする。

12. 先端生命科学発展演習(選択、1単位)

 先端生命科学専攻の基幹講座研究室から提示される複数の集中的な実験実習プロ グラムのうちから、自らの所属する研究室のものでないひとつに参加し、その実習内容を予め良く理解し、実際に手を動かして実験を行い、得られたデータにつ いて議論することによって新たな技術、知識および情報を得るとともに、自分の専門の壁を越えた幅広い思考能力や研究交流のスキルを養う。詳細はこちら。
 平成25年度は8月1日から2日にかけて行われました。詳細はこちら。

13. *先端生命科学特別演習(必修、8単位) 

 博士論文の作成に向けて、研究室セミナーや論文の添削指導を各研究分野の教員が担当する。

14. *先端生命特別研究Ⅱ(必修、12単位)

 博士論文の作成に向けて、テーマの選択や実験指導を各研究分野の教員が担当する。

15. 新領域創成科学研究科共通科目(選択、1単位)

 新領域創成科学特別講義Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ
 新領域創成科学特別講義Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ(学融合セミナーⅠ、Ⅱ、Ⅲ)
 新領域創成科学特別講義Ⅹ、ⅩI(科学・技術英語A、B)
 新領域創成科学海外演習Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
 新領域創成科学特別演習Ⅰ、Ⅱ
 ストレスマネジメント論

16. アーカイブ講義 全学開放講義「生命科学大学院共通セミナー」「生命科学共通講義」(選択、各1単位)

■ 東京大学全学開放科目とは?
 今後ますます多様化、複雑化する生命科学に貢献するためには、研究者に幅広い知識と視野が求められます。 しかし、各研究科、専攻ごとに行われていた従来の講義やセミナーだけでは、 求められる能力を習得するのが難しくなると予想されます。 そこで、東京大学の生命科学系の研究科や研究所が協力して、 既存の学問分野の枠にとらわれない領域横断的な科目や新しい履修方法を提唱していこうと考えています。 このような試みの第一歩として、様々な学問的背景を持つ教員が集結する先端生命科学専攻において、 『東京大学全学開放科目』の開講が実現しました。 「生命科学大学院共通セミナー」はその中のひとつであり、 「生命科学共通講義」と合わせた2科目を通じ、領域横断的で広い視野の学習が効果的にできます。
 また、本科目は講義室で受講する従来の対面型ではなく、 履修登録した学生に向けて講義アーカイブをネット配信する新しい方式で行われます。 この方式により、場所や時間の制約を受けずに、何度でも講義を視聴(講)することが可能になりました。 ネット配信の特性を活かすためにも、より『能動的な姿勢』で視聴することを期待します。

■平成29年度は3名のアーカイブ TA が頑張っています。
●アーカイブ TA
 金 弘渊(D1)
 城村 直寛(M1)
 根本 翔太(M1)
●顧問
 朽名 夏麿

講義内容
「生命科学大学院共通セミナーⅠ」 (科目番号:000-11)
各研究科で行われたセミナーやシンポジウムを講義アーカイブとして配信します。
・最終講義(平成17年度~)
・「東京大学の生命科学」シンポジウム(2006年~)
・医科学研究所 連続公開講座「ヒト細胞性白血病ウイルス1型 HTLV-1と疾患」
・新領域創成科学研究科「東大-産総研-理研連携によるバイオインフォマティクス教育インフラストラクチャー」
・新領域創成科学研究科 21世紀COEプログラム「言語から読み解くゲノムと生命システム」公開シンポジウム
・理学部「生物科学セミナー」

「生命科学共通講義Ⅰ」 (科目番号:000-14)
各研究科または学部で行われた講義を講義アーカイブとして配信します。
・薬学系研究科 機能薬学専攻「免疫学特論」
・薬学系研究科 機能薬学専攻「生理化学特論」
・新領域創成科学研究科 情報生命科学専攻「新領域創成科学特別講義Ⅱ&Ⅴ/生命システムⅠ」(通称「COE特別講義」)
・理学部 生物学科「代謝生物学」
・理学部 生物学科「細胞遺伝学」

<受講に関する注意点>
・履修登録を行い、アカウント(ユーザーIDとパスワード)の発行を受けて下さい。
・ガイダンスに必ず参加し、視聴方法や履修方法について説明を受けて下さい。
<成績評価方法>
・視聴記録とレポートにより評価します。
・講義やセミナーのアーカイブ(60~90分)を7つ以上視聴して下さい。
・シンポジウムのアーカイブはその全てのコンテンツ(15~30分)を視聴した場合のみ有効で、シンポジウムのアーカイブ3つで講義やセミナーのアーカイブの1つ分と なります。
・視聴したアーカイブのうち、単位認定に用いる7つ分については、レポート提出時に申告して下さい。(視聴記録と照合します)
・視聴したアーカイブから1つを選び、内容に関して1200字以上のレポートを提出して下さい。レポートに加え 400字以上の感想を添付して下さい。

注1)東京大学の多くの専攻や研究科からの受講を歓迎しますが、修了単位として認められるかどうかは、所属する専攻や研究科にお問い合わせください。
注2)先端生命科学専攻以外の学生に関しては、通常の講義と同じように履修登録をすると、アカウントが発行され個別のメールアドレスに送信されます。履修登録の修正期間終了後2週間以内に発行しております。
注3)ご不明の点に関しては、メールで担当教員の小嶋 徹也 tkojima{at}k.u-tokyo.ac.jp ({at}を@に替えてください)まで、直接お問い合わせください。