生命科学研究科 生命科学研究科 ― 東京大学大学院新領域創成科学研究科

平成30年度プレスクール論文賞講評

特別賞: 濱谷 和 (がん先端生命科学分野)

課題:「ヒトの健康寿命を現在より20歳以上長くするには、どのような方法が考えられるか。また、その結果として社会は、どのように変わるのかを予測せよ。」(動物生殖システム分野)

:  BCI(brain-computer interface)を使った将来の方向性を議論しているオリジナリティが評価できる。

(受賞レポート)

 

 

特別賞: 湯澤 知久 (資源生物制御学分野)

課題:「1).一般に作物(品種)開発が他の工業製品(商品)開発と比較して年数がかかることに対して考えられる理由を述べよ。2).上記理由に関して先端技術(AI,ドローン等)がどのように貢献できるか。品種開発従事者が試したくなるような提案を具体的に記載せよ。」(応用生物資源学分野・山本敏央教授)

:  本論文において著者は、作物開発が他の工業製品開発と比較して年数がかかる理由について、交雑、分離、固定に要する世代の長さや、環境や他生物との複雑な相互作用の中で仕上げていくことの困難さを示し、作物の本質を理解した的確な分析を行っている。また先端技術による品種開発の効率化案については、農業現場のIT化の先駆けとなった植物工場の現在の経営上の問題に着目し、そのインフラを品種開発拠点として再構築できると提案している。バイオテクノロジーや情報関連の先端技術によって個別のプロセスを向上させようとする提案が多い中で、著者による「既に実装している先端技術」のパッケージたる植物工場とのマッチングを図ろうとする提案はコストも意識せざるを得ない作物開発の現状に照らし合わせると興味深いものである。メリットとデメリットが深掘りされていればより望ましい。

(受賞レポート)

 

 

特別賞: 布施 寛人 (応用資源生物学分野)

課題:「ラガービール酵母は、ゲノム解析の結果から中世に出現したS. cerevisiaeとS. eubayanusのハイブリッドであることがわかっている。なぜそのようなハイブリッドが生まれたのか、またそれを確かめる方法について記せ。」(生命応答システム分野)

:  他の論文が、ラガービールが登場するまでのビールの歴史と参考文献の概説に留まっているのに対し、本論文では参考論文中で考察されているhybrid酵母の由来について疑問を呈した上で、独自の仮説を展開し、さらにその仮説を検証する実験計画を提示している。このように、本論文の構成は科学論文としての構成をしっかりと押さえているので、安心してかつ興味深く読むことができた。こうしたことから、本論文はプレスクール論文賞の相応しいと考える。

(受賞レポート)