生命科学研究科 生命科学研究科 ― 東京大学大学院新領域創成科学研究科

平成26年度プレスクール論文賞論文

優秀賞: 福村 圭介 (分子認識化学分野)

課題:「植物ウイルスは媒介昆虫あるいは植物の性質をどのように改変すれば生き残りやすいだろうか。既存の知見にとらわれず論じよ。」(資源生物創成学分野 宇垣正志 教授)

:  植物ウイルスが生存を有利にするため媒介昆虫の行動を操作する、というアイディアが多く寄せられた。それらの中で、福村君は、昆虫によるウイルス媒介の「制限要因」を複数考察した上で、ウイルスが媒介昆虫生理のただひとつの要素「摂食行動抑制に必要な体内栄養分濃度の閾値」を操作するだけでそれらの「制限要因」を打破し、より媒介されやすくなる、と考察した。これは独創的なアイディアと評価できる。福村君は、昆虫の味覚という自分の研究関連の勉強を重ねる中でこの発想を得たと思われるが、異なる学問分野間の融合というプレスクール論文の主旨にも合っている。文章は多少冗長であるが、論理的に展開されていて説得力があり、プレスクール論文に相応しいと評価した。

(受賞レポート)

 

 

特別賞: 中井 章人 (遺伝システム革新学分野)

課題:「脊椎動物の何らかの分類群(魚類、哺乳類、霊長類、etc)に着目し、感覚受容体の進化について、文献を引用しつつ、これまでの知見を紹介し、今後の進化について自論を展開せよ。」(人類進化システム分野 河村正二 教授)

:  地球温暖化、海水酸性化、海中音伝導度の上昇、クジラ類の聴覚、といった話題を組み合わせて、クジラの音声・発音器官・音声コミュニケーション・認知能力・社会構造・採餌行動の進化を予想するユニークな議論を展開している。読んでいて楽しく、切り口の面白さからプレスクール論文特別賞に値する。

(受賞レポート)

 

 

特別賞: 平田 恵理 (生命応答システム分野)

課題:「減数分裂におけるDNA2本鎖切断修復の役割について調べて、放射線誘発DNA2本鎖切断の修復との違いを考察せよ。」(動物生殖システム分野 三谷啓志 教授)

:  「DNA2本鎖切断修復は生物の生存に多面的に寄与している。平田さんは、減数分裂におけるDNA2本鎖切断修復の過程と生物学的意義を簡潔に説明している。とくに、生殖細胞における能動的に生成される2本鎖切断と放射線によりランダムに生じる2本鎖切断の差に注目した点と減数分裂のもつ、遺伝的に多様性をもつ子孫を誤りなく生産するという特性を関連分子の観点から議論している点からプレスクール論文に相応しいと推薦する。

(受賞レポート)