生命科学研究科 生命科学研究科 ― 東京大学大学院新領域創成科学研究科

平成24年度プレスクール論文賞論文

特別賞: 呉 枚嬪

課題:「音楽療法が効果を有すると仮定した場合、その作用メカニズムについて生物的に論ぜよ。」(動物生殖システム分野 尾田正二 准教授)

:  音楽療法について幅広く文献を調べ、似非科学的な面も多分にあり得る難しいテーマであるにもかかわらず、説得力とボリュームのあるレヴューを展開している。また、パーキンソン病をとりあげて発症機序について過去の知見をきちんとレヴューしながら、音楽療法が効果をもたらすと考えられ得る可能性のある分子機序について、オリジナルな仮説を提示している点も高く評価される。

(受賞レポート)

 

 

特別賞: 清水 弥

課題:「自分が植物ウイルスになったとき、植物や媒介昆虫をどのように改変した場合に子孫が生き残りやすいか戦略を示せ」(資源生物創成学分野 宇垣正志 教授)

:  「自然界に強毒の、すなわち宿主に甚大な被害を及ぼす、ウイルスがなぜ存在するのか」という病理学上重要な課題をとりあげており、それに自分なりの回答をあげていることから、評価しました。 宿主を殺してしまっては自分も生きられないことから、ウイルスは弱毒化して宿主に害を及ぼさない方向に進化することが期待されます。しかし現実には、ウイルス感染で宿主が死に至ることがしばしばみられ、従来は「新しい宿主に宿主範囲を拡げた直後であってまだ弱毒適応する世代を経ていない」「複数の病原体が同じ宿主の中で増殖競争した結果、増殖力の強いものが選択された」といった説明がなされてきました。 清水君は、植物ウイルスが昆虫によって媒介されることに着目し、「強毒ウイルスが感染植物を枯らすことで、感染植物からウイルスを獲得した昆虫が新しい植物に移動(して感染を拡大)することを促す」という説を提唱しています。 たしかに植物吸汁性の昆虫の中には、カイガラムシのように、ひとたび居心地の良い吸汁場所を見つけるとそこから一生動かないものもあり、昆虫は本来は「できれば動きたくない」のでしょう。それら昆虫をいかにして動かすか、という点に着目した点を評価しました。

(受賞レポート)

 

 

審査委員: 青木、河村、松本、鈴木(匡)、鈴木(邦)